『次郎物語　１』の感想にも書いたが日本の代表的教養小説として読み甲斐のある書物である。第三冊は主人公次郎の中学（旧制）時代の話である。実家本田家へ帰り、それまでどうしてもそりが合わなかった祖母とも共同生活することができるようになった次郎の精神の成長がかかれている。しかし彼の短慮が原因で城下町での生活をやめ、一家は田園暮らしにならざるを得なかった。そうした事件に当たり、中学の教師、先輩、兄の導きも得て日々成長していく次郎の精神それが示されている。翻って今の日本にはこういう少年を育てる環境はあるであろうか？下村湖人が抱いた危機感は今こそ思い返されねばならないのではないだろうか。

編輯者の目配りで一九六○年以降の中短編SFマンガ十編を選び出している。約三百八十頁に収めるという制限がついているので、中短編によって編まれるのは仕方がない。ただこの選択が日本SFマンガ史的に妥当なのかは、その方面に詳しくない私には断定できない。ただこんな人がSFをも書いていたという意外性はあった。あすなひろし、いしかわじゅん、とり・みき、吉田秋生など。最初に編輯者の目配りと書いたが、そう割り切れば一つの戦後SFマンガ史として楽しめるものである。それでも星を一つ落としたのは、マンガはやはり文庫版では小さすぎるというためである。せめて新書版以上の大きさで出してほしかった。

過去世界的に見ても優れた思想・哲学を生んできた中国の現代哲学の初めての（と言って好い）紹介である。これは事件である。中国現代哲学者の文献の翻訳全く無かった訳ではないが、中国専門書店から中国研究者向けに少部数出るだけであった。ところが本書は数々の現代哲学の良書を翻訳出版してきた叢書・ウニベルシタス（法政大学出版会）から出版されたのである。一握りの中国哲学専門家のためではなく、日本語で現代を考えるあらゆる人に向けて出版されたのである。願わくば広く一人でも多くの日本人に、いや中国語は読めないが日本語なら分かるという世界の人に読んでもらいたいものである。

このシリーズ（近代日本思想選）自体を歓迎する。今から三十年ぐらい前ならハードカバー箱入りで刊行されたであろう。それが文庫のシリーズとして刊行されている。ここに今の日本出版界の苦境を見る思いがする。しかし一冊に現代日本の代表的思想家の精髄だけを詰め込んだ書物が出るのはありがたい。九鬼について言えば、『いきの構造』『偶然性の問題』といった代表作は入手可能であるが、これらの書物を読んだだけでは、九鬼の思想の全体像は見えてこない。このように一冊に精髄を詰め込んだ選集は好き九鬼への入門書である。筑摩書房さん好くやってくれました。

まだ使い始めたばかりですので地球生については評価できません。しかし使い勝手は非常によいです。ノートパソコンが在宅勤務が続いて酷使し壊れてしまったので新調しました。従来はシンクパッドで棒を操作すればポインターが動き利用しやすかったのですが、新しいノートパソコンはタッチパッド式で私は苦手であったので、このマウスを買いました。やはりマウスは使い易いですね。それにも関わらず星五つにしなかったのは、耐久性或いは電池の持ちがどうなのか分からないためです。耐久性、電池の持ちが好ければ星六つにしても好いと思っています。

サイズ：ちょうどよい

沢山の靴持ちではありません。しかし、一日履いたら、次は休ませるように最低二足は用意しておきます。（実際には慶弔用とかスニーカー、予備とかもう少し多いですが。）二足を見分けるように色違いとしています。ダンロップの靴は以前使っていました。履きごごちも好く、丈夫で大変重宝しました。唯其のシリーズは現在生産中止になって仕舞いました。同じダンロップの靴だからと購入しました。早速履いてみましたが、足にぴったり来る感じで、歩きやすかったです。以前のダンロップの靴と同じように長持ちしてくれることを期待しています。

（星四つは最高の評価です。耐性とか時間を掛けないと分からない事もあるので五つ目の星は将来に遺しておきます。） 娘夫婦が金庫を持っていないというので贈りました。本当に外観は本その物。本物の本と一緒に置いたら全く見分けが付きません。通帳や印鑑・現金などの保管にはもってこいです。以前から本の間にこういう類を保管するのが安全性が高いと聞いていました。しかし私はどの本に隠したのか忘れてしまい、通帳の再発行を頼んだ事があります。此れなら忘れる心配もありません。その意味でも好いと思いました。

前に『西田幾多郎講演集』を読んだ。此れで難解で頭を悩ました西田に少し理解が進んだ。この書簡集は西田の仕事の裏話とも言うべきでｓる。西田の家族への愛情、そして家族を失う事への悲哀、こういう感情の動きが彼の塩との裏には流れていたのかと気付かされる。西田と後進の哲学者との交流、西田批判後の田邊に対しても、その哲学は受容しないが、人間としては敬愛の情を抱き続けていた懐の深さ。太平洋・アジア戰爭に当たっての時局への深い憂い。人間西田が活き活きと浮かび上がってくる。

契丹はキタイ（ロシア語で「中国」）の語源。伝奇とは唐代に始まる小説を指す。中国文学者である著者が衒って付けた題名である。著者の知識は漢族文化に就いて豊かである。それは勿論漢族の周辺に咲いた異民族、西域にも通じ、遙か泰西のシナ・中央アジアへの憧憬にも通じている。（そう言えば彼女は英語圏で研究助手をしていたことがある。）そして現代日本生きていることも忘れていない。こうした様々な文化の交錯の中に紡ぎ出される幻想、それが読者を魅して已まない。

幸徳秋水による師中江兆民の評伝、および其の基礎となった兆民の行状の記錄。附録として秋水の兆民論（「文士としての兆民先生」）などを収める。文士という兆民への評價はまた秋水自身の生き方にも通じるであろう。文章の格調の高さ、此れは明治故であろうが、其の喪失は近代日本にとっても大きな損失であったと思われる。 せっかく歴史的仮名遣いを採用したのであるから、ルビも歴史的仮名遣いにして欲しかった。また漢字も正漢字（康煕字体）を採用して欲しかった。