鍵盤の天皇　井口基成とその血族 中丸美繪／著 ノンフィクション書籍その他

60の手習いというか65才で近所の公民館のシニアピアノ教室に通いはじめた。私は子供のころギターを習ったことがあるが、もう一度音楽の基礎を知りたいと思い、ブックオフでプライマーを買い求めた。その時に目についたのがこの本。家に帰って気になりはじめたので下村楽器の楽譜便で買った。結論から言うととてもおもしろい。厚い本だか二日で読んだ。井口基成先生の生い立ちから、一族のこと、桐朋学園、ヤマハ、外国人音楽家とのつながり、など時系列で整理されていて読みやすかった。 そして同様に驚いたのは作者中丸美繪さんの取材力、筆力、まとめ方のすごさ。今まで読んできたノンフィクション作家の中で一番。とにかく素晴らしい本です。売らないで手元に置いておきます。 井口基成先生のご冥福をお祈りします。中丸さんの更なるご活躍を祈念。一族の方、門下生、さらにピアノに関わるすべての方々のご健勝を期待いたします。

よくぞここまで踏み込んでリアルな人々を描けたものだと驚嘆。細やかな情報収集、心血を注いだ執筆により戦後の日本音楽界を引っ張ってきた重鎮の生き様がありありと浮かぶ。映画化されても良い作品になるだろう。貴重な一冊。